イスラエルとガザ地区における事態への声明
2023年10月以降激化したイスラエルとガザ地区の武力衝突から1年以上が過ぎました。この衝突の連鎖は、イスラエルとガザ地区を超えて、ヨルダン川西岸地区、レバノン、シリア、紅海・アデン湾、イランを含め西アジア地域全体に拡大しようとしています。
この深刻な事態を踏まえ、私たち、日本西アジア考古学会会長・役員一同は、一連の暴力の行使によって亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、かけがえのない人々を失い、いまだ耐え難い苦しみの中にある方々すべてに寄り添い、心からの連帯を表明します。
私たちは、西アジア地域の考古学を現地調査に基づいて研究する者のコミュニティです。私たち一人ひとりのこれまでの営みは、出アフリカ以来の人類文明の来し方を雄弁に語る西アジア地域の遺跡や文化財を対象としてきただけでなく、現地調査でともに働いた人々の存在に支えられてきました。その西アジアにおいて深刻な事態が続く中、私たちはアジア、アフリカ、ヨーロッパの結節点に位置する西アジア地域の複雑な歴史を考古学的に研究することが、西アジア地域あるいは広く人類社会における現代的課題の解決、そして希望ある未来へのビジョンの提示の一助となることを信じて歩んでいく決意を新たにしています。
私たちはこの暴力の行使に関わるすべての当事者、そしてそれらに影響力を持つすべての人々に、国際人道法を含む国際法を遵守し、民間人にさらなる犠牲者がうまれないよう最大限の努力をはらうことを強く要請します。そして、速やかに暴力の行使を停止し、和解に向けた対話をはじめることを呼びかけます。
2024年12月8日
日本西アジア考古学会会長・役員一同